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成人式の「振袖レンタル」騒動に思う 業種でさまざま「前受金保全措置」

2018.02.11「授業料」にしては、高くつき過ぎです!の話

    1.H30年初に騒がせた「はれのひ」トラブル

    横浜市の振袖販売・レンタル会社「はれのひ」が、成人式当日に音信不通となってしまった騒動。同社は既に破産手続開始を決定し、管財人が保管の振袖の返却を始めたようです。

    この会社は、対外的には年々売上げが伸びていると公表していましたが、東京商工リサーチの調べでは、前々期決算の段階で負債総額6.1億円(金融債務4億円)、3.2億円の債務超過であったとのこと。仕入先との取引停止や賃金未払も生じており、最終的な負債も10億円との報道もあります。

    2.注目が集まった「振袖レンタル」業とは?

    一連の報道の中で注目が集まった「振袖レンタル」のビジネス。最近の成人式の振袖レンタルは、1~2年前から予約を受け付け、試着や前撮りを行い顧客を囲い込むスタイルだったなど、初めて聞いた方も多かったろうと想像します。

    京都の呉服店から着物を仕入れ、レンタルするものは固定資産計上(2年償却)。そのメンテナンスとともに、店舗・スタジオ等の設備投資、スタッフ・着付け師などの人件費が発生。

    販促・広告宣伝費も欠かせません。予約時に予約金を預かるのであれば、本来は「前受金ビジネス」のようにも思えますが、ほぼ年一回転の振袖の仕入れ、使用期間はごく短期。価格競争も厳しく、素人目にも「前受金ビジネス」とするにはリスクがあり過ぎるようにも見えます。

    3.呉服屋さんの友の会「前受金保全措置」も

    一般に「前受金ビジネス」と言われる業種は、資金の出入りが一般と逆なだけに、撤退・縮小戦略が採りづらい傾向にあります。

    そのため、破綻するときは、拡大路線のまま倒産というのもよく見る光景で、顧客の被害は大きなものになります(「NOVA」「てるみくらぶ」の経営破綻がよい例)。

    そこで割賦販売法の「前払式特定取引業」の場合には、「前受金保全措置」(前受金の50%を供託)が行われます。元々は冠婚葬祭互助会で始めた手法ですが、呉服屋さんが運営する「友の会」では、この保全措置を行っているところもあります。

    また、特定商取引法の「特定継続的役務提供」(エステ・語学教室・学習塾・家庭教師・パソコン教室・結婚情報提供)は、一定額を超える金銭を受領するときは、保全措置の有無などを契約に明記しなければならないこととされています。

    「前受金分別 信託」を導入している会社もあります。